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森のハープ弾き 阿久津 瞳

栃木県芳賀郡芳賀町生まれ。森林インストラクター。

2011年 宇都宮大学農学部森林科学科卒業。

2022年 宇都宮大学大学院地域創生科学研究科修了。

大学卒業後3年間、自然ガイドとして働きつつハープを習い、

その後アイルランドに渡り1年間アイリッシュハープを学ぶ。

2017年より宇都宮市でハープ教室「竪琴教室 林音」を主宰。

2024年より大田原黒羽教室をオープン予定。

国産材ハープ「森の竪琴」の企画販売、演奏活動を行うことで、

日本の木を使うことの大切さを伝えている。

Harper in the Forest Hitomi Akutsu

Born in Haga-machi, Haga-gun, Tochigi.

Forest instructor.

 

I graduated at the top of my class from the Department of Forest Science, Faculty of Agriculture, Utsunomiya University in 2011.

I completed the Community Design Program, Department of Social Design Science, Graduate School of Regional Development Science, Utsunomiya University in 2022.

I studied harp for 3 years after graduating from college while working as a nature guide, and then went to Ireland to study Irish harp for a year.

 

I am the organizer of a harp school "Harp School Linne" in Utsunomiya City, and I plan, sell, and perform on a domestic wood harp called "The harp of forest".

 

I started beekeeping in 2020.
I am the president of Tsumugi Corporation, which connects people with nature.
I am a certified advisor of Japan Honey Meister Association.

I like martial arts and have 6th dan in Iaido and 2nd dan in Kyudo.

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森のハープ弾きの原点

私が生まれ育った芳賀町は、平野が広がる米どころ。

田植えが始まる時期には、カエルの鳴き声が響き渡ります。

のどかな田舎で、のんびり育ちました。

私の家は、ひいひいおじいちゃんの代は「阿久津材木店」だったらしく、どうやら木にご縁のある家系らしいです。

子供の頃にピアノを習っていましたが、ほとんど練習せず、バイエル終わったくらいのレベルでギブアップ。

音楽や楽器自体には興味があったので、中学入学したら吹奏楽部に入部しようかと思っていましたが、

犬夜叉というアニメにハマってしまって弓道部に入りました。

高校時代はひたすらガリ勉。紆余曲折あって大学は宇都宮大学。

どの大学だとしても、農学部の森林科学科を受けることは高校2年くらいから決めていました。
理由は、ジブリが好きだったから。
ナウシカみたいになりたくて、トトロが好きで、森のことを詳しく知ることに憧れていたから。

 

大学に入ってからも、音楽には興味があったけれども、

るろうに剣心とか映画のあずみとかに影響されて日本刀が使えるようになりたくて居合道の個人道場に通っていたのもあって、

大学の管弦楽団とかに入るのはちょっと無理で、

個人的にオカリナ、クリスタルフルート、篠笛、龍笛などに挑戦するもことごとく続かず。

 

しかし、大学4年の22歳の時、借りぐらしのアリエッティの主題歌をセシル・コルベルさんがハープを奏でながら歌う姿を見た瞬間、

これをやりたいと思いました。

 

最初に実物のハープに触れたのは、2011年1月。

宇都宮に月一くらいで来ているクラシックのハープの先生の教室に行きました。

初めてハープに触れた瞬間、自分の世界が何十倍にも広がったような感覚になりました。

これは趣味のレベルにおさめられないと思いました。

大学卒業時には、居合道三段になり、大会で優勝するようにもなったので、

父親が卒業祝いに日本刀の真剣を買ってくれると言ってくれました。

しかし私は、真剣は後で自分で買うから、今はハープが欲しいと言い、カマックのバルディック27というハープを買ってもらいました。(真剣は社会人になってから実際自分で買いました。)

 

卒業後には、ホテル付きの自然ガイドという形で、栃木県の那須にあるホテル、

二期倶楽部の「森のコンシェルジュ」として働き始めました。

運のいいことに、栃木県に唯一住んでいるクラシックのハープの先生が職場の近くの黒磯というところに住んでいて、

月3回レッスンを受けていました。

在職中からいつか、自然ガイドで独立して生きていきたいと思っていました。

でも、実際に食べていける人はごくわずか。

自然ガイドなんて、結構な知識を持った人でもボランティアだったり、週末の趣味程度に案内してたり。

今自然ガイドで生活していられるのは、このホテルと、この森と、この環境があるからであって、

この場所を離れたら私には何の後ろ盾も無い。

お金を払ってでもガイドしてもらいたいと思われるようになるには、他の人と差別化しないといけません。

それなら、自然の知識と、大好きなアイリッシュハープと組み合わせて何かできたら、もしかしたら面白いかもしれない。

そう思ったのが今の私の原点です。

​国産材で作った楽器にこだわる理由

日本は国土の約70%が森です。戦後に植林された大量のスギやヒノキも現在収穫期を迎えていますが、消費されず余っている状態です。

国産材の消費を上げるために、日本の木を使う事が必要です。

 

「森を守る」というのは一概に木を伐らないで手を加えない事だけではありません。

 

確かに青森県の白神山地など、人がなるべく手を加えず保護しなければならない森はありますが、

ナラ・クヌギなど薪になる木が中心の里山林(雑木林、薪炭林)や、スギ・ヒノキを植林した人工林は、

人が定期的に間伐などの手入れをしたり、収穫期になったら伐採して植林するというサイクルを回すことが不可欠です。

 

人が手を加える事で森に光が入り、地表に植物が生えたり、昆虫が集まって来たりして、

生物多様性が上がり環境にも良い影響を与えるのです。

現在、国産材が使われない事で森林を手入れする資金が足りず、このサイクルが滞った状態です。

その結果、荒れた森が全国的に増えています。

価値を生み出さない森は誰も手入れしません。

日本の木は余っているのにも関わらず、大量の木材が輸入されています。

これは外国産の材は価格が安かったり、均一な品質の木材を大量のロットで対応でき、

安定して供給されるというメリットがあるからです。

しかし、発展途上国から輸入した木材は現地の環境を破壊して生産されている場合もありますし、

計画的に生産されていたとしても、輸送の段階でたくさんのCO2を消費し、環境の面では良いとは言えません。

 

国産材を使いたいなと思う方が増え、国産材の消費量が上がれば、

森林を手入れする資金が生まれ、荒れている日本の森が豊かになるのです。

 

また、民族楽器の笛やバイオリンの指板に使われる黒檀、バイオリンの弓に使われるフェルナンブコなど、

世界中で作られている楽器用の木材も枯渇寸前です。

日本の木で作った楽器でも十分美しい音が出るよ、ということも伝えられればと思います。

 

私は、自然ガイドと、国産材で出来たハープを作ること、奏でる事、多くの人に国産材ハープを届けることで、

国産材を使うという事に興味を持ってくれる方を少しでも増やし、それが日本の森を豊かにすることにつながればいいなと思っています。

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